旅のレポート


今回のキューバ訪問が葉巻に関する事を目的としていたため、公開する情報も葉巻に関わることが大半ですが、ここでは、それ以外の旅の記録も含めた旅行記を、レポートとして残しておきます。キューバ旅行の一情報として読んでいただければ幸いです。

記述の中には、細々としてどうでも良いような事も書いていますが、案外そういうことが現地に行った際に役立ったりするかもしれない…と思ったりしたので、そういったことも書いています。読むのが面倒くさかったら読み飛ばしてください。

 

● 1日目(2008年7月4日)


AM10:55の便で北九州空港から羽田空港へ。その後リムジンバスで羽田から成田空港第一ターミナル南ウイングへ移動。PM5:00、エアーカナダのトロント直行便出発。フライト時間は約12時間。久々に長時間のフライトだ。かなり時間をもてあます覚悟でいたが、意外に長い時間寝ることができて助かった。
ただ、入国カードを配るときも熟睡していたため、カード未記入のまま降機し、カード記入のあと入国審査の長い列の最後尾に並ぶことに…。入国審査カードや税関申請のカードは、やはり機内で書いておくべきだと反省した。

日本からキューバへのトロント乗り継ぎは、どうしても一泊必要なため、空港から約4キロのビジネスホテルへタクシーで移動。メーターの無いタクシーで、料金はCAN$30…かなり高い。このタクシーの運転手、イスラム系の男で、中東の音楽を大音量で流すのにはまいった。

カナダは初めてで、空から見るトロント近郊の町並みは緑と森の点在する美しいものだったが、地上を走ってみると以外に雑なつくりだ。道路なども結構デコボコで、日本の道路がきれいだと言われる意味が理解できる。
夜はホテル周辺で食べようと思ったが、空港近くのホテルだったため周りに店がなく、部屋で日本から持っていった食事を取り軽く済ます。サマータイムのためか日が暮れるのが遅く、8時半くらいになってようやく外が暗くなった。
窓から外の景色を見ていると、なんとなく物悲しい感じがする。昔父親がカナダに出張したときのことを「寂しい気持ちになる」と話していたのを思い出した。整然としていて綺麗なのだが、人の気配が極端に少ない。

 

● 2日目(2008年7月5日)


朝5:45に起き、6:15のシャトルバスでトロント空港へ。普段なら絶対に起きない時間だ。この季節のトロントは、昼間は30度近くまで気温が上がるが、早朝は20度を切る気温で肌寒い。
エアーカナダのハバナ行きのチェックインを済ませ、セキュリティー検査のあと搭乗ゲート近くのファーストフード店でトーストとベーコンの朝食を取る。

ファーストフード店の店員は黒人で、まったく愛想が無い。そう言えば、この国に来てから、まだ微笑みかけてくる人をほとんど見ていない気がする。まぁ日本も無愛想といえば無愛想だが、カナダよりは断然愛想がいいようだ。

8:30、トロント国際空港を離陸。ハバナまでは3時間半のフライトだ。
エアーカナダの飛行機だが、空港で見た限り機体はどれも新しく、機内の設備も整っていて快適に過ごせる。国際線のビジネスクラスなどは、完全に横になって寝れるシートのようだ。私はエコノミーだが、それでも日本の航空会社よりもシートの前後間隔が広いと感じた。ただ食事は大したことはない。
正午前、ハバナ空港への着陸態勢に入る。窓から見るキューバは、緑が豊かで、開発されていない国といった感じがする。道路は赤土の道が多く見えるし、建物もカナダで見た整然としたそれとは大きく異なっており、数も少ないし、まばらにしか建っていない。
正午、入国審査でいくつか質問をされた。まず名前を確認された。私の名前は「RIOか?」と聞くので、「そうだ、RIOだ」と答えておいた。RIOはスペイン語で「川」の意味なので、日本人なのに変な名前のヤツだと思ったのかもしれない。だいたい入国審査官というのは難しそうな顔をしてこちらを緊張させる割に、大したことを聞いてこない。他には「バケーションか?」「キューバに来るのは初めてか?」などと聞かれたが、すべて「そうだ、バケーションだ」「そうだ、キューバは初めてだ」と答えておいた。これらのことは全て入国審査カードに書いていたのではあるが…。
エアーカナダは機内で入国カードのほかに税関申告カードを配ったが、税関らしきものは無かった。預けたスーツケースを取った後、申告カードには書かなかった日本酒4瓶のことを聞かれはしないかと構えていたのだが、あっさり到着ロビーに出てしまった。ちなみに酒類の持込は2本らしいが、お土産なのだから仕方が無い。これは非常に重くて面倒なお土産だったが、Joseたちが喜んでくれるといいのだが。

エアーカナダにライターを没収されたので、空港の売店でライターを買う。ロビーでは早速シガーの香りがどこからか漂ってくる。「あぁ、キューバに着いたんだな」という実感がわいた。それと同時に、ムッと来る湿気と暑さを感じた。おそらく日本の真夏くらいの気候だろう。いや、日差しはもう少し強いか…。

空港内でいくらかの日本円を両替し、タクシーでホテルに向かう。ちなみに両替のレートは120円で1CUC(兌換ペソ)だ。大雑把に言えば、US$に両替して1割上乗せされたぐらいだと思っていればいいようだ。

タクシーはクーラーなどついておらず、窓全開で空いた道路を疾走する。一度は時速90キロと表示されているメーターを見たが、次に見たときはもっとスピードが出ていたのに時速0キロだった。どうやらメーターは壊れているらしい。
運転手は顔に良い皺の刻まれた60歳くらいの男で、陽気な笑みを浮かべている。キューバ音楽をかけ、どうだい?良いだろう?という顔をする。明るく人懐こく、私はホッとしたような気持ちになった。この爺さん、音楽に合わせて歌ったりしているのだが、口笛を吹き出したとき、その上手さに思わず舌を巻いた。キューバ人と音楽とは、切っても切れないものなんだなと改めて思った。

車窓から見える景色は貧しいものだ。国にお金が無いことをしらしめられる。車はどれも古く、中には濛々と白煙を上げて走っている車もいる。交差点には信号がほとんどなく、その交差点にはたいていどこでもヒッチハイク待ちをしている人たちがいる。キューバは政府がヒッチハイクを推奨しているのだ。石油が不足しているのだろうか…。しかしキューバはアメリカから経済制裁されているが、ベネズエラから支援を受けている。ベネズエラは石油産出国だから、意外に石油はあるが車が無いだけなのかもしれない。

空港から20分ほど走って、ホテル メリア・コイーバに午後1時前に到着。外観は埃をかぶったあまり綺麗とは言いがたいホテルだったが、ロビーへ入ると広く清潔でなかなか豪華なつくりだ。さすが5つ星といった雰囲気である。

チェックインしようとしたところ、3時にならないと部屋に入れないというので、2階にあるLa Casa del Habanoに行ってみた。メリア・コイーバのLCDHはそれほど品数も多くなく、こじんまりとしている。そこでパルタガスのセリーD4とプライベートロールシガー3本を買って、併設のバーで時間をつぶすことにした。

ハモン・イベリコのホットサンドとコーヒーで昼食を取り、プライベートロールシガーに火をつけた。おぉ…、これは今まで吸ったことの無い味わいだ。ショップのプライスタグはCOHIBAのバンド無し品となっていたが、これは明らかにCOHIBAとは違う。ミディアムフルなボディーで、香ばしさと若干の塩味が効いている。確かにキューバンシガーではあるが、はじめは慣れない味に「これはどうかな…」と思っていたが、最後までキッチリ吸い尽くしてしまった。なかなか旨かったようである。

そしてこのバーで、Habanos S.A.のマーケティング責任者のJoseに電話を入れる。何でも明日が母親の誕生日で来れないので、今日ホテルに寄ってくれるそうだ。ただ私がまだチェックインしておらず、部屋番号がわからないので、チェックインしたら電話すると言って電話を切った。

ここでキューバでの携帯電話事情について書くと、私はauとsoftbankを持っているのだが、softbankはキューバではローミングできない。auはローミング可能で、携帯メールはできないが、通話だけは可能だ。ただ、auは海外ローミングできる機種が非常に少ないので、私は成田空港でレンタルしておいた。通話料は日本への発信が1分380円、着信が1分190円、キューバ国内への電話が1分80円となっている。キューバ国内で電話をかけるときは、国番号をいれずにダイヤルすれば掛かる。
渡航前はキューバ唯一の携帯電話会社キューバセルの携帯をレンタルしようかと思ったが、通話料が1分50~80円くらいかかるので、それなら日本の携帯を持っていってローミングしてもあまり大差ないため、auの携帯を持っていくことにした。
それとメリアコイーバのインターネット事情についてだが、事前情報で部屋でのインターネットはダイヤルアップのみ可能と聞いていた。同じく部屋からインターネット接続できるのはホテル ナショナルと、サラトガだが、メリアコイーバとナショナルホテルは、部屋からのダイヤルアップ接続になる。もしかして部屋でLANが使えるのではないかと思いLANケーブルも持ってきたが、LANコンセントが部屋になかった。また、無線LANの電波も部屋では全く入らなかった。
ではどうやってインターネットをするかというと、1階のビジネスセンターで出来るほか、1時間6CUC払って無線LANの利用券を購入すると、1階のロビーで無線LANが使用できる。これはアカウントとパスワードを利用した時間制で、時間になるとキッチリ使えなくなる。
通信速度はお世辞にも早いとは言えず、6KB/sec程度しか出ていない。よって、大きなサイズのファイルなどはダウンロードできないと思っておいたほうが良いだろう。ただ、WEBの閲覧やメールチェック程度なら、そう問題なく利用できる。
ちなみにサラトガホテルは全室LANが利用可能らしいが、メリアコイーバがシングル一泊1万円強なのに対して、サラトガは2万円以上する。だが、どうしても部屋で常時接続環境が必要な人はサラトガが良いだろう。

3時になったので部屋にチェックインする。部屋はシングルで取っておいたのだが、7階の部屋へ入ってみると、セミダブルベッドが2つ並びキングサイズベッドになっていた。窓からはマレコンの海がみえるオーシャンビューの部屋だったが、景色には、あまりリゾート感がない。
しかし部屋は綺麗で広く、エアコンも良く効くし、心配していたシャワーのお湯の出もよく、快適に過ごせそうだ。

この日は夕方シャワーを浴びた後、旧市街にでも行ってみようと思っていたのだが、時差のせいか疲れていたからなのか、シャワーからあがったあとベッドで横になっていたらそのまま寝てしまい、起きると夜の11時になっていた。起きてから部屋のドアの下を見るとメッセージカードが落ちていて、Joseがホテルを訪ねてくれたらしい。
そうだった…、部屋番号を電話すると言っておいて、電話するのを忘れていた。せっかく訪ねて来てくれたのにJoseには悪いことをしてしまった。
明日、謝りの電話をしないといけないな。今日はもう、このまま寝ることにしよう。

 

● 3日目(2008年7月6日)


今日は旧市街のシガーショップをいくつか回ってみることにする。
メリア・コイーバのLCDHはそれほど品揃えが多くなかったので、旧市街のLCDHで面白いものが見つけられると良いのだが…。

旧市街はメリア・コイーバからタクシーで5分ほどの場所だった。昨日は結局ホテルから一歩も出なかったので、キューバを自分の足で見て回るのは、今日が初めてのになる。
7月は雨季だと聞いていたため、今回のキューバ訪問では一日に何度か降る激しいスコールを覚悟していたが、この日は抜けるような青空で湿気も少なく、空は抜けるように高かった。しかし気温は朝10時過ぎの時点で既にかなり高く、日向を歩いていると肌をジリジリと焼かれるような日差しだ。

タクシーを降りたのは、ハバナ旧市街のカテドラル近く。
スペイン統治時代の建物が多く残るためか、光と影のコントラストが高い景色のためか、そこはスペインを髣髴とさせる町並みだった。アカシア類の赤い花が、深く青い空に映えとても印象的だった。

初めに歩いたのはTacon通り。この通りは旧市街でも観光の表通りなのか、建物にも綺麗にペンキが塗られ、町並みが古いわりには清潔感のある通りだ。そこからカテドラルのあるカテドラル広場に出ると、広場の南にキューバ音楽を奏でる5人の老人たちがいた。彼らの奏でるギターの音と歌声が広場に響き、なんとも言えない心地良い雰囲気が広場に満ちている。私は音楽は好きだが、特にキューバ音楽に関心があるわけではなかった。しかし、彼らの音楽には足が止まり、しばらく聞き入っていた。

広場や通りには他にもキューバならではの人々がおり、その代表格が「コイーバ、モンテクリスト、シガー!」と、ほぼフェイク間違いなしのシガーを売りつけようとしてくる輩だ。
もう一つのパターンが、葉巻に火をつけずに咥えたままの老人だ。彼らは道端に座っていて、観光客から写真を撮られるのを待っているのだ。キューバらしい写真を観光客に提供するために。
もちろんタダで写真を撮らせるわけではなく、写真を撮ると「まいどどうも…」と言わんばかりに、モデル料を請求するのである。私は吸いもしないシガーを咥えている彼らを、どうしても好きになれなかったのだが、火をつけていない葉巻を咥えたある老婆の横で、40代の女が彼女の写真を「撮れ撮れ」という仕草をするので、私は手振り身振りで「葉巻の先に火をつけろ」と返しておいた。向こうも向こうだが、あとで考えると私も大人気ないことをしたと多少反省したのではあるが…。

一軒目に見つけたLCDHは、カテドラルの近くにあった。ホテルの中というわけではなく場所の説明が難しいので、とりあえず入口の写真を載せておくのでご勘弁いただきたい。

メリアコイーバのそれよりも店内は広く、店の奥にあるウォークインヒュミドールの規模も大きい。シガー状態の比較のために、メリアコイーバでも試し吸いしたパルタガスのセリーD4を1本買おうと思ったが、ばら売りしているものがなかったので買わなかった。
今回キューバのLCDHでは、スーツケースに入るだけ買って帰ろうと考えているのだが、出来ればエイジドシガーか、若しくは新しくても、日本では手に入らないような品質のスタンダードなシガーを買って帰りたいと考えている。
なので、何店舗かLCDHの当たりをつけておいて、キューバ滞在の後半にまとめて買う予定だ。このカテドラル近くのLCDHも品揃えは悪くないので、また来ようと思った。

この後は、旧市街をぐるぐると歩き回り、表通りとは全く表情の異なる裏通りを見たりした。奥まった裏通りに迷い込むと、スペインを思い出すと書いたカテドラル付近の通りとは全く異なり、建物は崩壊寸前といった趣だし、道路もゴミが散乱して汚く、悪臭が漂っている。あまりに建物が老朽化したままになっているせいか、人も住んでいないようで、通りを歩く人も閑散としている。夜はあまり歩きたくないような場所である。

1時間ほど歩き回ったあと、あまりの暑さで頭がボーっとしてきたので、ホテル サン・ミゲル横のカフェでレモネードを飲んだが、これが抜群に美味しかった。ここのレモネードはフレッシュライムと氷をフローズン状にした飲み物で、モヒートも良いが、暑いキューバにはこのレモネードも抜群に合う飲み物だと思った。
このカフェのボーイがなかなか気の利く男で、1杯目のレモネードを持ってきたときは「サルー(乾杯)」と言って去っていった。レモネードだから、もちろんノンアルコールである。
あまりに美味しかったのでもう一杯注文し、2杯目を持ってきたときは、今度は「エンジョイ!」と言って去っていった。よほど私が1杯目を美味しそうに飲んでいたのだろうか…。しかし「エンジョイ!」とはいい言葉だなと思った。
こういうホスピタリティーをキューバ人が皆持ち合わせているかというと、そうではない。資本主義経済が徐々に導入されつつあるとは言え、まだまだ社会主義時代の労働精神が根強く残っており、無愛想で嫌そうに仕事をしている人々も少なくない。しかしこのカフェのボーイはやはり一味違っていて、私がタバコに火をつけようとタバコを出すと、目ざとくそれを見つけ灰皿を持ってきたかと思うと、私が自分で火をつけるよりも先にライターを出して、私のタバコに火までつけたのには少々驚いた。日本の飲み屋で、即ボーイとして働けそうな男である。

そのあとは、近くまで来たのでヘミングウェイ縁の店として名高いラ・ボデギータ・デル・メディオへ行った。まぁ、有名な観光スポットということで観光客は多いが、私にはそれ以上の感動は無かった。


ヘミングウェイと言うと「老人と海」が有名だが、そういえば私もだいぶ昔に読んだことがあった。あの小説は徹底的に第三者視点で描かれているのが特徴だが、しばし、あのカジキマグロと戦う老人に思いをはせることが出来たのは確かである。

そしてこの日、一番行きたかった場所へ足を向ける。そう、ハバナシガーファンの巣窟、ホテル コンデ・デ・ビジャヌエバだ。このホテルの2階にあるLCDHにはハウスシガーを巻く腕の良いトルセドールが居て、私はそのシガーを求めてやってきたのだ。



ホテルは、明るい光の射すパティオを取り囲んだ小さな建物で、その店はパティオを見ながら上がる細い階段の先の2階にある。店内は3つの部屋に分かれていて、ドアを入るとまずメインのシガーショップ。右奥にはロッカータイプのシガーキャビネットが置かれたウォークインヒュミドール。左側の部屋はカウンターとテーブルのあるバーになっていて、買ったシガーをここでゆっくりと楽しむことも出来る。
ショップスタッフのシガーローラー、彼の名はレイナルド・ゴンザレス。口ひげを生やした人懐こい顔で、何かの映画で見たことのあるような顔だ。

私は彼に、あなたの巻いたシガーを見せてほしいと頼むと、笑顔で右奥の部屋へと私を案内し、ロッカーからさまざまなヴィトラのシガーを出してくれた。その種類たるや実に多彩で、ロブスト、チャーチル、コロナゴルダ、ピラミデ、ロンズデール、ラギートNo.1、サロモネス、ダブルコロナ…と書き出せばきりが無い。さらに現行のHabanosラインナップには無い、ダブルロブストくらいのヴィトラもあった。

そして彼が私に「何のヴィトラが好きなんだ?」と聞くので、「コロナゴルダ、ベリコソ、ロブストなんかが好きだ。」と答えると、好きなヴィトラを1本プレゼントすると言ってくれた。シガーを好きな方ならわかってもらえるだろうか、欲しかったシガーをプレゼントされる喜び、これはたとえ1本でも本当に嬉しいものだ。このキューバ産のプライベートロールシガーは、ここキューバへ来て、このホテルへ足を運ばなければ吸うことが出来ない特別なシガーなのだ。

私は彼に感謝の言葉を伝え、ロブストを1本もらうことにした。そしてさっそく火をつけてみる。最初に驚いたのは、ドローが実にパーフェクトなことだ。ドローの楽さ・きつさには好みもあると思うが、実際のところはドローが良すぎると燃焼温度が上がりクールスモーキングできなくなり、逆にドローがタイトだと、吸うのに疲れてしまい、なかなかパーフェクトなドローにめぐり合えないことも多いものだ。しかい彼の巻くシガーは完璧なドローだった。
彼いわく、このシガーは1998年収穫の10年熟成させたタバコ葉を使って巻いたものらしいが、未だにそのボディーの強さは衰えておらず、フルボディーに近い強さを持っていた。味わいはキューバンらしい味わいをベースに、トーストの香ばしさ、そしてかすかなレザーの香りが効いた風味で、Habanosのブレンドでは味わったことの無い美味しさだった。
明日、HAMLETのシガーを75本購入予定なので、彼のシガーを多くは買えないことが悔やまれたが、彼に理由を話すと「HAMLETは友達だよ。」と教えてくれた。それから、明後日私がアレハンドラ・ロバイナと会うことを話すと、彼はとても良い人だそうだ。確かに写真などで見ると、表情にそれがにじみ出ている。

あまり多くは持って帰れないにしても、キューバ滞在中に彼のシガーを吸おうと思い、5種類8本のシガーを買って帰ることにした。すると、さらに2本シガーをプレゼントしてくれるではないか。
自分の巻いたシガーをプレゼントする、その気持ちが私には何となくわかった気がした。自分の巻いたシガーで人が喜んでくれること、それがきっと彼の喜びでもあるのだろう。彼の好意に甘えつつも感謝し、滞在中にまた来ようという思いを胸に、彼に心からのお礼を伝え、店を後にした。

 

● 4日目(2008年7月7日)


H.UPMANN工場見学

 

 

● 5日目(2008年7月8日)


ベガス・ロバイナ農園見学、ドン・アレハンドロ・ロバイナと対談(準備中)

 

 

● 6日目(2008年7月9日)


今日でキューバ滞在も5日目となった。明日は帰国なので、キューバ滞在の最終日は、シガーとラムの買い付けに出かけることにした。
買い付けにキャッシュを準備しようと思い、メリア・コイーバ内のCADECAでクレジットカードからキャッシングをする。1000兌換ペソ(1兌換ペソは120.8円、2008年7月現在)キャッシングすると1119.2US$だったので、1US$=108円だとすると、現金を両替するのと全く同じレートということになる。クレジットカードからのキャッシングはUS$ベースなので手数料を取られると思っていたが、そうではないようだ。

キューバでシガーを買って日本へ持って帰ろうと思うなら、必ずLa Casa del Habanosで買うことになる。ショップはハバナ市内に何店舗もあるが、ホテルに入っていることが多い。私は品揃えの多い店で買いたかったので、メリア・ハバナと5Y16の店に行くことにした。


メリア・ハバナのロビーフロアから1フロア降りて奥へ進むと、グランドフロアにLCDHはある。ここは店も広く品揃えも豊富だったので、欲しかったシガーを数種類購入する。仕入れ用と個人用だ。
買おうと思ったシガーについて、それぞれボックスコードを確認してみたが、2006~2008年のものが大半だった。2006年物が2年程度のエイジングでどの程度良い状態に変化しているのかは分からないが、近年品質向上が顕著なことと、工場から出荷したてのシガーは美味いことが多いため、2008年のものを中心に購入することにした。

シガー購入後、広い店内の中央に置かれたカウチで、コーヒーを飲みながらシガーを吸っていると、レジカウンターの後ろにベガス・ロバイナの陶板レリーフがあることに気づいた。そこで、ショップスタッフにドン・アレハンドロ・ロバイナのことを聞いてみると、やはり知っているという。famous peopleだと言っていたが、…確かに。店にも来たことがあるらしい。
話をした彼女の名はAdacil Gufierrez Teruel。スタッフといってもシガーの担当ではなく、バーのスタッフだ。私にスパニッシュかと聞くので日本人だと答えたら、「日本人には見えない。仕事はモデル?あなたはとてもエレガントだ…」と、矢継ぎ早に褒めてくる。シガーをまとめ買いしたしたからだろうか?
他にもいろいろな話をしたが、とにかく、明るくてなかなかキュートな女性だった。

私の葉巻店ではポール・ララニャガが良く売れるのだが、メリア・ハバナのLCDHには置いてなかったので、次に5Y16の店に行ってみることにした。


この店はメリア・ハバナほど広い店内ではないが、バースペースが広く、しかもシガーの品揃えも非常に豊富だった。ここでメリア・ハバナには無かったポール・ララニャガを見つけたので、即購入することに。

一通り欲しいシガーを購入できたので、一旦ホテルに戻って荷物を置いてから、もう一度旧市街に足を向けることにした。

旧市街ではまずパルタガス工場へ行き、工場入口にあるシガーショップを見てみる。ここはLCHDでは無いようで、品揃えもあまり良いとは思えなかった。ただ、一般観光客としてキューバに来て葉巻工場を見学できるのはここだけなので、観光客相手にお土産としてかなり売れているようだ。
つづいて葉巻博物館のLCDH、ホテル・バレンシアのLCDHと行ってみたが、いずれも小さな店で、品揃えも良くなかった。近くまで来ているならついでに寄ってみるのは良いと思うが、購入目的であればメリア・ハバナか、5Y16をお勧めしたい。

朝からシガーショップ巡りをしていたら、時間は夕方近くになっていた。最後はのんびり観光でもしようとサン・フランシスコ広場の方へでてみると、サン・フランシスコ・デ・アシス修道院の庭がきれいだったので入ってみることにした。

見知らぬ土地へ来て、石で囲まれた建物の中をゆっくり歩いていると、遠く日本から離れた場所へ来たんだな…という実感があった。郷愁とも静かな感動ともわからないような感覚を胸に感じながら、しばらく私はこの修道院で時間を過ごしたのだった。

H.UPMANN工場レポート

VEGAS ROBAINA農園レポート(準備中)

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