湿度計の調整方法
目次
湿度計の誤差発生とその調整
葉巻の湿度管理に欠かせないものの一つに湿度計があります。ヒュミドール付属の湿度計は大半がアナログタイプですが、使用していくうちに誤差がでてくるため、定期的な調整が必要です。しかし残念なことに、インターネットでは誤った調整方法が多く掲載されているため、湿度計が正しくセットアップできていない方も多いようです。
そこで本稿では、家にあるもので簡単・正確に行える、湿度計の調整方法をご紹介します。
準備するもの
調整する湿度計 ・ 小さな小鉢 ・ 食塩 ・ ジッパー付きビニル袋
調整方法
飽和食塩水を作る
小さな器に1/3~1/2程度、精製水と食塩を入れ飽和食塩水にします。食塩はフローズン状態になる程度まで、たっぷり入れてください。
湿度計と飽和食塩水を密閉する
ファスナー付きビニル袋に、1.で作った飽和食塩水の器と湿度計を入れ、中の空気を抜いてファスナーを閉じます。(空気の量が少ない方が、より正確な湿度に安定します)
1日置く
湿度計を入れたビニル袋を1日程度置いておきます。するとビニル袋内部の湿度は、ほぼ相対湿度75%になっていますので、湿度計の目盛りが違う湿度を指していたら、75%に合わせてください。
注意点
- 使用する塩は、塩化ナトリウム100%に近い食卓塩(味の素はダメですよ)をご使用ください。海水塩だと他の塩類を含有するため75%になりません。
- 部屋が乾燥していると、湿度計を袋から出したとき微妙に数値がずれてくるので、目盛りの調整は素早く行ってください。出来れば、空気が乾燥していない雨の日などに行うと良いでしょう。
解説
飽和食塩水を密閉空間に置いておくと内部の湿度が75%に安定する──これは湿度計試験に使われる「飽和塩法」と呼ばれるもので、JIS B7920にも規定されている信頼性の高い湿度再現方法です。
当店で取り扱っているウェスタンカリバーIII デジタル温湿度計でも試してみたところ、24時間でジャスト75%に安定しました。
※間違った湿度計調整方法
蒸しタオルや濡れタオルで湿度計を包んで、しばらく時間をおいた後に針を100%に合わせる。
蒸しタオルによる調整の問題点
ヒュミドール用・葉巻用のアナログ湿度計は、ほとんどがバイメタル式湿度計です。このバイメタルとは、温度や湿度に対する膨張係数が異なる2種類の金属を貼り合わせたもので、アナログ湿度計ではゼンマイ形状のものが使われます。
このバイメタル方式の湿度計で湿度が測定できるのは、製品にもよりますが概ね10~90%で、最も精度が高い計測域は35~75%です。
インターネット検索で「バイメタル式湿度計」で検索していただけると分かるのですが、この方式の湿度計で0%または100%の目盛りがある製品はほとんどありません。何故かというと、湿度0%や100%などの極域では誤差が大きくなるからです。湿度表示誤差の大きい100%で湿度計を調整するのをお薦めできないのはこのためです。
もう一点、バイメタルはデリケートな部品です。室内用のバイメタル式アナログ湿度計でも、ある程度精度の高い製品になると、注意書きに「息を吹きかけたりしないでください。」という文言を見つけることができます。蒸しタオルで包んだりすれば「温度+湿度」という二重の負荷がバイメタルにかかります。バイメタルは形状記憶合金ではないので、無理な負荷が加わると完全には元に戻りきらなくなりますのでご注意下さい。
我が家の湿度計
バイメタル式のようですが
3台とも数値が異なります、49%,56%,61%でした。
机の上に30分~60分置いても、こんな状態です
教育テレビでは賞味期間が1,2年と言っていたので、
もはや湿度に反応するオブジェに過ぎないのでしょうか。
気温はすべて32度でした。
Googleからの足跡
バイメタル式ということはアナログ湿度計だと思いますが、調整しても半年で狂いますね。精密湿度計でも定期的な誤差調整は避けられないようですので、一度調整されてみてはどうですか?飽和塩法はかなり正確に調整できますよ。
ちんぷんかんぷん(泣)
ずっとそのまま使える、湿度計はないのでしょうか・・・
ヒュミドールには、たいていアナログタイプの湿度計が付属します。この記事は、それを利用し続ける場合を想定して書かれたものです。
調整いらずな湿度計もありますよ。
ウェスタンカリバーIV デジタル温湿度計
飽和食塩水でそのまま加湿ではダメなのでしょうか?
飽和食塩水だと湿度75%で安定しますので、葉巻保管にはやや過加湿となり、良くありません。