2018年12月 ベガス・ロバイナ農園訪問
2018年12月15日(土)、久しぶりにタバコ栽培期のベガス・ロバイナ農園を訪問した。農園主のヒロシ・ロバイナ氏と、ヒロシの片腕であるイバン氏より現在の農園のタバコ葉栽培について話を聞いた。
タバコ・タパド 畑の外部
タバコ・タパド 畑の内部
以前はラッパー(タバコ・タバド、ガーゼ遮光による栽培)のみを栽培していたベガス・ロバイナ農園だが、数年前からフィラー、バインダー用のタバコ・デル・ソル(ガーゼ遮光しない)も栽培しているとのこと。
2018年はラッパー用にクリオーリョ2010、フィラー用にコロホ2012をそれぞれ50%、50%作付けしたとのこと。
畑へ定植後40日のラッパー用タバコ苗
苗を畑に植え付けるのは例年11月1~5日で、10月だと雨が多すぎ、12月では遅すぎるとのこと。(フィラーはOK、遅い植え付けが問題となるのは、1月以降は虫が発生しやすくなるため)
11月以降は、北風が吹く日が多くなり、カリブ海から湿った空気をもたらす南風よりも、乾燥した涼しい北風がタバコ葉栽培には適しているそう。
タバコ苗(クリオーリョ2010)の頂部 苗を吊る糸が見える
訪問した際、豆が植えてある畑があったので理由を尋ねてみると、タバコ葉は同じ畑で毎年栽培せず、豆類(ビラックビーン、ブラウンビーン)とタバコを1年ごとに交互に栽培するとのこと。タバコを連作せず豆類栽培を挟むことで土壌の窒素が蓄えられ、翌年のタバコ葉栽培にとって養分豊富な土壌となる。
農園主のヒロシ・ロバイナ氏と
ラッパー用のタバコ葉栽培は、タバドと呼ばれるガーゼで畑の全てを覆うという特殊な栽培方法がとられる。育苗で10cmほどに育てられた苗は、11月初頭に畑に定植される。それから20日目にタパドをかけるが、それまでは直接太陽光を浴びて、タバコは40~50cm程度まで成長する。そこでタパドをかけると日射量が30%程度に制限される。するとタバコは太陽の光を求めて、上へ上へと急速に成長するようになる。この急速な成長が、厚みの非常に薄いラッパー用タバコ葉となる理由である。この急速な成長によって、タパドで覆った20日目から25日間で、タバコは2m近くまで成長し、定植から45日でタバコ葉の収穫が開始される。
タバコ苗(クリオーリョ2010)
私が訪問したのは定植から40日目、タパドで覆ってから20日目で、収穫開始の5日前だった。タバコ苗は私やヒロシ・ロバイナの背丈よりも大きく成長しており、急速な成長により自立できないため、倒れないように、全ての苗がタコ糸で上部から結束されている。
この40日目で、苗の下方のタバコ葉は肘から手の先ほどの大きな葉に成長しており、5日後に収穫を待つばかりの状態だった。
タバコ・デル・ソル(フィラー・バインダー用)の畑
昨今、Habanos S.A.からラージヴィトラの葉巻供給が不足している理由は、大きなヴィトラを巻くのに必要不可欠な大きなラッパーが不足していることによる。フィラーやバインダー葉は多少小さくても、重ねて足し合わせることでラージヴィトラに対応できる。しかしラッパーは、どうしても一枚物の大きな葉が必要なのだ。
今回久しぶりに見たベガス・ロバイナ農園のタバコ葉は、キューバ国内一(すなわち世界一)というタバコ農園の名にふさわしい、実に高品質且つ大きなラッパー用タバコ葉だった。
サン・ルイス 他の農園のタバコ・デル・ソル
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