ベガス・ロバイナ農園 初訪問 2008年7月編
2008年7月5日~10日の6日間、キューバへ行ってきました。目的はただ一つ、キューバ産の葉巻が作られる課程を、実際にこの目で見てくることでした。その目的をH.アップマン工場の見学及び取材で大いに果たすことができた私は、一路ピナール・デル・リオのベガス・ロバイナ農園へと足を伸ばします。
このレポートでは、初めて訪れたベガス・ロバイナ農園の様子を、写真でご紹介します。今は亡きドン・アレハンドロ・ロバイナ氏にお会いする機会を得たのも、この訪問の際でした。
この記事の最後で、ベガス・ロバイナ農園のハウスシガーが巻かれる様子を動画でご紹介しています。是非ご覧下さい。
キューバで最も知名度の高いタバコ農園:ベガス・ロバイナ農園
当時はメインゲートの前に、写真のような素朴なゲートがありました。
カーサ・デ・タバコ:タバコ葉のキュアリングを行うための小屋。太陽の光と風の具合を綿密に計算した上で、建造する場所と方角が決定されています。
メインゲートには、Alejandro Robaina 1845の文字が。
1845年とは、Don Alejandro Robainaの祖父がスペイン サンタンデールから現在のロバイナ農園地に移民してきた年です。つまりロバイナ家は、160年以上昔から最高品質のタバコ葉産地と知られているブエルタ・アバホ地区でタバコ農園を運営しつづけています。
キューバで最も知名度の高いタバコ生産家であるドン・アレハンドロ翁の多大な功績を讃える意味で、アレハンドロ・ロバイナの農園名を掲げる【上記のRロゴデザイン】のブランドが1997年に設立されました。世界に先駆けてスペインで発表された後は、新しいブランドでもあるのにもかかわらず、世界中の葉巻愛好家達から高い評価を得るに至っています。このブランドのラッパー(葉巻の最も外側に巻かれる葉)は、100%ロバイナ農園で収穫されたもので巻かれています。
ドン・アレハンドロ・ロバイナ翁は、世界中の多くの雑誌で特集が組まれ、その知名度の高さはキューバ葉巻界随一となっています。
農園のビジター・ハウスに飾られていた2点のヒュミドール。手前はメディア・ルエダ(巻き上がった葉巻を50本ずつリボンでしばって束にしたもの)を模したもので、メディア・ルエダとは「人生の半輪」という意味。
ベガス・ロバイナのロゴ入りヒュミドール
ベガス・ロバイナ農園のアレハンドロ・ロバイナ翁と思い出の一枚。この日はスイスのとある市の市長が面会を求めたそうですが、それを断って会う時間を取ってくださった。
深く刻まれた皺に、氏の歩んできた人生を感じました。とにかく、葉巻のタバコ葉栽培に関して、そしてお人柄も、カリスマ的な人物でした。
持参した雑誌「ヒュミドール」にサインしてもらっている一コマ。
この雑誌は、今でも大切に店に保管しています。
ロバイナ農園のハウスシガー。これをアレハンドロ翁、孫のヒロシ、当時Habanos S.A.のマーケティング エグゼクティブだったホセ・アントニオ・キャンディア氏らと薫らしつつ談笑した時間は、今でも忘れることが出来ません。まさに至福の時間でした。
雑誌の表紙にサインしてもらった文字が見えます。日付は2008年7月8日
写真左は、当時まだ初々しかったヒロシ・ロバイナ。アレハンドロ・ロバイナ翁の孫です。ですが既にこの頃、アレハンドロ翁のたばこ葉栽培の全てを一子相伝で日々受け継ぎつつあったのです。
テラスにて、アレハンドロ・ロバイナ翁とホセ・アントニオ・キャンディア氏
カサ・デ・タバコ
カサ・デ・タバコの内部。無数にある木の棒に、収穫後のタバコ葉が吊されます。訪問した8月は、農閑期だったため空っぽでしたが。
このような状態で、タバコ葉のキュアリングが行われます。
農園でのタバコ葉栽培を説明するボード
この、ごま粒よりも小さな種が、タバコの種です。1つの種から18枚の葉が収穫されるので、これだけあれば無数のタバコ葉が取れますね。
種は育苗ポットに蒔かれ、ある程度成長した段階で移植されます。植える時は、この小さなポットの中の土に指で一つ一つに穴を開け、非常に小さな種を一粒植えるそうです。
ポット苗がある程度まで生長したら、ハウス内の路地に移植されます。ここで15cm程度の大きさになるまで育てられ、再度畑に移植されます。
農閑期の畑
畑に移植されたばかりの頃は、この程度の大きさです。まだ葉が5~6枚しか出ていません。これが18枚になるまで育てられ、それ以降は新たな葉の芽を摘んで、生長を止めます。理由は、葉が蓄える養分の分散を防ぐためです。
そして苗が生長すると、このように大きな株になります。大きさは、人の背丈ほどにまで生長します。
刈り入れは午前中に行われます。上の方の葉は油脂分が多いため服に油が付くそう。
刈り入れは対になる葉2枚を2~3日ごとに下から摘み取っていきます。
葉の表面は艶やかに光っており、触ってみるとベタベタとしています。これが葉巻の芳香の元となる、タバコ葉の油脂分です。
ロバイナ農園では100%ラッパーのみを栽培していますが、この畑は出荷用ではなくデモンストレーション用に植えられているので、タパド(日よけのためのガーゼの覆い)は設置されていませんでした。本来のタバコ葉栽培期は、11月からなのです。
たばこ苗がある程度大きくなると、苗が倒れないように吊した糸で苗を固定します。これは全ての苗に対して行われます。
タバコ苗について詳しく説明をしてくれるホセ・アントニオ・キャンディア氏
キューバで栽培されているタバコ葉は80種ほど品種があり、代表的な品種にはハバナ92、ハバナ96、ハバナ2000、カベロ2006、コロホなどがある。ブエルタ・アバホで栽培されるのは、栽培が難しい(気候変化への抵抗力が低い)が品質の高いカベロ2006やコロホ種とのこと。ちなみに品種改良は遺伝子組み換えなどは行わず、全て自然交配。
私の身長とほぼ同じくらいの苗高さですね。
ロバイナ農園のハウスシガーを巻くマミーノさん。葉巻を巻くだけでなく、農作業にも従事しています。彼の巻く葉巻は誰が薫らすのかというと、農園で働く農夫たちなのです。ロバイナ農園製のタバコ葉で巻かれたハウスシガーです。その素晴らしさは市販品を凌ぐ凄さなのですが、農夫の人たちはある意味贅沢ですね。
実際にロバイナ農園のハウスシガーを巻く実演をしてくれました。
カパ(ラッパー)をチャベタ(カッター)で切っているところ
木型から取り出したバンチ(バインダーで巻かれ型押しされた葉巻)をラッパーで巻いていきます
ムービー撮影もしてきましたので、ロバイナ農園のハウスシガーが実際に出来るまでをご覧下さい。ラッパーを巻くところで、ちょっと失敗しています(笑)
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