ベガス・ロバイナ農園訪問 2回目 2011年7月編

初めてのベガス・ロバイナ農園訪問から丁度3年が経過した2011年7月、再び農園を訪れました。

vegas_robaina_farm_4ピナール・デル・リオの市街からサン・ルイスのロバイナ農園へ
この看板が見えたらもう直ぐです。 vegas_robaina_farm_4_1

vegas_robaina_farm_5ロバイナ家は、代々タバコ農園をこの地で営んでおり、革命後、多くのタバコ農園が統合される中、個人農園を守り続け今に至っています。個人農園主を貫いたドン・アレハンドロ翁は、家業として愛情をもってタバコ葉を栽培することに大事にしていました。

vegas_robaina_farm_6Alejandro Robaina 1845と掲げてあるメインゲートを再びくぐります。
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vegas_robaina_farm_10ベガス・ロバイナ農園 現農園主 ヒロシ・ロバイナ
(アレハンドロ・ロバイナ翁の孫)
vegas_robaina_farm_11ヒロシは、幼少期からロバイナ農園の農園主としての人生を歩んで来たわけではなく、ハバナで生まれ18歳までハバナ(都会)で育ちました。彼はまず、パルタガス工場、H・アップマン工場でトルセドールとして葉巻について勉強を行い、その後14年間は(サン・ルイス地方の父方の実家になるロバイナ農園)、アレハンドロ・ロバイナ翁のもとで共に生活をし、タバコ葉栽培に関するロバイナ農園の伝統を受け継いだとのこと。

「本当に寝起きを共にし、生活してきたんだ。お爺ちゃんと同じ部屋で寝て起きて暮らしたんだ!」と嬉しそうにヒロシが言っていました。知識・技術のみならず信念や価値観の伝統を受け継ぐ上でも、日々の習慣を通して得られるものは計り知れないものがあります。
彼が、アレハンドロ・ロバイナ翁のことを話す時は、いつもロバイナ翁の穏やかでとても優しい人柄が伝わってくるのと同時に、聞き手も心が温かくなるくらい、おじいちゃん子だことが伝わってきます。

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vegas_robaina_farm_141845年は、ロバイナファミリーのご先祖がスペイン サンタンデールがら移住し、タバコ農園を始めた年(現農園と同じ場所)
vegas_robaina_farm_15何度見ても、痺れる格好良さです。ベガス・ロバイナ農園に飾られているドン・アレハンドロ翁の写真。
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vegas_robaina_farm_17ドン・アレハンドロ翁の思い出が壁一面に
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vegas_robaina_farm_24ドン・アレハンドロ翁の旅先でのアルバムとアレハンドロ翁を訪れた著名人とのアルバム

vegas_robaina_farm_25中庭に置かれた古い農機具。
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vegas_robaina_farm_31カーサ・デ・タバコ
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訪問した7月は農閑期だったためカーサ・デ・タバコ内は空っぽでしたが、タバコ葉栽培の説明ボードを使って、ロバイナ農園でのタバコ葉生産から葉巻が出来るまでを、改めて説明してくれました。

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ベガス・ロバイナ農園では、約17ヘクタールの畑全てをタパドで覆ってタバコ葉を栽培し、100%カパ(ラッパー)のみを生産しています。(ハウスシガー用に一部タバコ・デ・ソルで栽培しているそうですが、出荷用はカパのみ) その畑からは一年で、葉巻にして約900万本分のカパが収穫されます。農園で育てられたタバコ葉は、カサ・デ・タバコでのキュアリング後、国営工場へと送られます。

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写真のシーンではありませんが、ロバイナ農園で栽培されたタバコ葉がどの様に使用されているのかをヒロシに質問をしたところ…

「ロバイナ農園もその他の農園と変わらす、葉巻の原料をつくる生産者の一つです。ロバイナ農園では、長年デリケートで細やかな栽培方法をおこなっており、その結果品質の高い葉が収穫されています。我々は生産者の一つであり、生産を行ったタバコ葉がどの様に使用されるか、一切決断権はないんだよ。」と説明してくれました。

しかし、ロバイナ農園の伝統の栽培方法、土壌、天候など多くのプラス要素が結集した結果、ここで生産されるタバコ葉全てがベガス・ロバイナシガーのカパに使用されているとのこと。カパの葉も、実は細かく品質のレベルが分けられており、例えば、ペティコロナのカパのレベルは、やはり最上級のものではないとのことです。

 

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タバコ葉に糸を通し4mくらいの長さのクーへ(棒)に吊しキュアリングを行う。一般的に、マングローブがよく使われる。1本のクーヘには、100~150枚の葉が吊されます。その日の天候や室内温湿度により窓を開閉し、葉の長期保存がきくように含有水分量調節を約50日間おこないます。

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カビージャと呼ばれる陰干しされた葉の茎を束ねたもの。大きな立派な葉を付けるタバコ葉に、斑点や虫食いが起こらないよう栽培するには、我々の想像を遙かに超えるような細やかで手のかかる管理が必要です。

vegas_robaina_farm_37マミーノさんがハウスシガーを巻く作業場となっている小屋です。

vegas_robaina_farm_383年ぶりのマミーノさんとの再会です。

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ヒロシ行きつけのレストランでランチを済ませた後、葉巻談義に花が咲きます。

葉巻の代表的な生産国はキューバ、ドミニカで、その他にもホンジュラス、ニカラグア、アメリカ(フロリダ)などのカリブ・中米諸国や、フィリピンなどでも生産されているが、名実ともに、最高のプレミアムシガーを世界に送り出しているのが、カリブの小国キューバ。

質問:ヒロシの考えるキューバ産葉巻と他の原産国の葉巻の違いとは何でしょうか?

ヒロシ:タバコ葉を栽培する上で4つの重要な要素があります。それは、1.土壌 2.気候 3.品種 4.製造者だと思います。タバコの種や製造者が海外へ行ってしまっても土壌や天候は持ち出せないですからね。キューバ産葉巻の味わいはキューバでしか作りだすことが出来ません。そしてリオも知っているとおり、キューバ全土がタバコ葉の栽培に適しているわけではなく、一部の地域、ブエルタ・アバホで最も品質の高いものが育ちます。

皆さんは、キューバンシードという言葉を耳にしたことがありますか?どんなにキューバと気候や土壌が似ている土地を選び、キューバから密かに持ち出した種子でタバコを育てたとしても、キューバと全く同じタバコが育っているわけではないのです。結局はその土地の気候や土壌に適するように栽培法に改良された結果、キューバとは全く別の葉巻が生まれているようですね。またキューバでは、種子の研究にも、非常に力をいれているんです。

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質問:ダビドフ シガーを燻らせたことはありますか?

ヒロシ:あります。ダビドフ シガーに限らず世界中のどの葉巻もキューバ産とは違いますね。人それぞれの好みによって良い葉巻と感じるものは違うと思いますが、私は少なくとも、キューバ産葉巻が好きで他の国のものに変えたと言う人を聞いたことがありません。

──実はこの日、日本からダビドフ シガーを持参していたのでヒロシと一緒に吸い比べをしてみました。──

ヒロシ:うん?悪くないね。 でも、ashが灰らしくないね。白っぽいね。

片岡:ダビドフ シガーは滅多に燻らせないんですが、これはダビドフの中では個人的に好みだったクラシックNo.2と言うヴィトラです。でも、ロバイナ農園で貰う葉巻を吸うと、他の葉巻が吸えなくなってしまうね。

ヒロシ:ブランドでベガス・ロバイナがありますが、本当の意味でのベガス・ロバイナ農園の葉巻は、我々があげたこれらの葉巻ですよ。

片岡:これらの葉巻が販売できたら凄いことだよ。販売はしてないのですか?

ヒロシ:我々は、葉巻と言う商品の、原料の一部を生産している生産者であり、葉巻の作り手ではないのです。ロバイナ農園では農園夫や自分達の為の葉巻を巻いていますが、農園を訪れた方に葉巻を振舞うことはあっても、現段階でこれらを販売することは国から許可されていません。

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片岡:現在、キューバ産の葉巻はアメリカへの輸出、持ち込みできませんが、今後アメリカへの輸出が可能になると日本でキューバの葉巻が手に入らなくなってしまうのではないか?と思っているのですが。

ヒロシ:日本の皆さんに限らず、スペイン、フランス、ドイツなど各国の方々が同じように心配しており、質問されたことがあります。確かに、キューバ産の葉巻にとってアメリカ合衆国は、非常に大きなマーケットでしょう。しかしキューバは、今までの顧客の皆さんと築き上げた関係を、これからも大切すると思います。キューバでは、葉巻は文化の一部のようなもので、政治とは違います。また、現在のキューバ全体における年間葉巻輸出量が、最大限の生産可能量と言うわけではありません。現に、ロバイナ農園でも、もっと生産量を増やすことが可能ですし、自分と同じような人が多くいます。土地も広大に余っています。

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当店のお得意様よりヒロシへと扇子をお預かりしておりました。扇子には、友情書かれています。とても、喜んで貰えました。

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ほろ酔いでご機嫌のヒロシの手にある葉巻は、ラ・ヴィエスタ(野獣)という名の葉巻。ヒロシ自らが巻く、ロバイナ農園最高のハウスシガー。

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アレハンドロ・ロバイナ翁は、ロバイナ翁曰く10歳の頃から葉巻を燻らせて居たそうです。

ヒロシ:祖父は、91歳まで81年間 毎日2本~3本葉巻を燻らせていたんだ。禁煙ブームや体に害があるなどと言われるが、おじいさんは、「葉巻はよい事だ。」って言っていたんだよ。

このレストランでの話題のラストは、「自分達の若い世代がもっと葉巻を面白くしていかないといけないんだよ!」と熱く語ってくれたヒロシ。お互いに年が近いこと、そして私の持つキューバ産葉巻にかける情熱が伝わったのか、一気にヒロシとの距離が近づいた楽しい時間でした。

 

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