葉巻の巻き工程
加湿や選別、葉脈取りなどの工程を終えたタバコ葉は、ブランドやヴィトラごとに決められたブレンド内容で、トルセドールの手に渡ります。平均して1人のトルセドールが1日に巻ける本数は70本程度で、それに必要な分量のタバコ葉が支給されます。
この製造本数はトルセドールの熟練度によっても異なり、熟練者になると1日に120~140本、最も多く作れるトルセドールになると1日に170本もの葉巻を巻くことができるのです。
トルセドール達が作業する部屋はガレラと呼ばれており、彼らはチームごとに作業をしています。製造するブランドやヴィトラは、作業チームで異なっています。部屋の前方から見て左側へ行くほど、技術の高いトルセドールたちが作業する机となっています。
写真のトルセドールは、カテゴリー9のマスタークラストルセドール。トルセドールの職位はカテゴリー6からカテゴリー9までの4階級に分けられており、カテゴリー6の階級では、ペティコロナ(マレバ)やコロナなどの、小さなサイズの葉巻しか巻くことが許されていません。
写真のカテゴリー9のトルセドールが巻いているヴィトラはピラミデ。
この女性も熟練した腕を持つトルセドーラで、ピラミデのバンチを作っているところ。
バンチは、フィラー(トリパ)をバインダー(カポーテ)で巻いたものを型に入れて、プレス成形して作ります。
バンチをプレスしているところ。パンチを作る型はモルデと呼ばれており、以前は木製の木型を使っていましたが、現在は合成樹脂製の物が主流となっています。やはり木型だと摩耗によりサイズに狂いが出てくるのが早いためだとか。
一部では、まだ木製のモルデも使われています。
カテゴリー6のトルセドーラ達。
かなり大きなサイズで非常に美しい仕上がりの葉巻を巻いているのを発見したので、何のヴィトラか聞いてみたところ、今年のリミテッドエディションとしてリリースされるモンテクリストのヴィトラでした。葉脈の全く目立たない、色も均一で艶やかな光沢を持つ非常に良いラッパー(カパ)が使用されていました。
ガレラの前方から見て右端の机で作業している彼らは、トルセドールを目指して9ヶ月間の研修期間中の新人で、一番簡単なヴィトラを練習しています。研修期間中はベテランのトルセドールの指導を受けながら練習を重ね、2~3ヶ月ごとにテストを受けて、合格するのは30%程度と、トルセドールになるのは簡単ではないようです。またこの試験に落ちると、トルセドールの資質不足と見なされ、再試験を受けることは出来ないそうです。9ヶ月間の研修期間後、試験に通った合格者はさらに6ヶ月の研修を経て、カテゴリー6のトルセドールとして認められるようになります。
研修生達が練習で巻いたシガーはどうするのか質問したところ、「ここで働いてる人は、1日当たり2本くらいシガーを貰えるので、研修生達が巻いた物を支給しています。」とのこと。 仕事しながら葉巻が吸えるとは…なんとも。しかし、練習用の葉にはあまり良い物は使用してないそうです。
1874年からの習慣でガレラでは、トルセドール達に読み聞かせを行っています。現在は新聞を読んだあと、小説などを読み聞かせしているそう。昔はトルセドール達が給料を出し合って彼女の賃金を出していたそうですが、現在はこの読み聞かせも職種の一つとして認められ、Habanos S.A.から給与が支払われているそうです。
彼女が良い小説読むと、トルセドール達はチャベタという平刀を鳴らして「ブラボー!ブエノ!」と応えるそうですが、逆に良くないとチャベタを床に捨ててブーイングするとのこと。
トルセドール達によって巻かれた葉巻は湿度が高い状態なので、この調湿保管庫で湿度を下げる調整が行われます。平均して2週間この中で保管されますが、湿度が抜けにくい物などは最長で2ヶ月間ここで湿度調整が行われます。調整温湿度は、19℃、60%。
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