2013年7月キューバ渡航のフォトレポート

2013年7月5日~12日、約半年ぶりにキューバへ葉巻買い付けに行ってきました。その時に撮った写真から、今まであまり紹介してこなかったキューバの風景などを含めた、葉巻買い付けの旅の写真をご紹介します。

 

la_habana_early_morning

ホテル メリア・コイーバの部屋から見る、早朝のマレコン(ハバナの北側に接する海)。ここハバナで早朝や夕暮れ時に見る空と雲は、その印影が日本のそれとは大きく違って見える。その雲は私にラファエロの絵画を思い出させる。


la_habana_city_viewサマータイムのせいか、夏場のハバナの朝は思ったよりも遅い。この写真を撮ったのは、確か7時頃。ようやく朝日がハバナの街を照らしだす。

 

la_habana_very_old_townホテルの窓から眺めるハバナは、遠目には古き良き街並みに見える。しかし、良く目を懲らすと、驚くほど老朽化した建物が目に入る。このように老朽化著しい建物は、キューバ革命以降に建てられたものが多いそうだ。革命以降は建築資材の調達も容易ではなく、資材そのものの品質が低かった。

 

hotel_rivielaメリア・コイーバホテルに泊まれば誰もが目にするリビエラホテル。マレコンの海に突き出すようにして建つこのホテルは、キューバ革命以前、アメリカの有名なマフィアが所有するホテルだった。
このホテルの地下にはツアーデスクがあり、それを利用して様々なオプショナルツアーに参加できる。私は今回はじめて、ここでレンタカーを借り、自らハンドルを握りロバイナ農園を訪れることにした。

 

melia_cohiba_hotel_pool

ハバナの市内では、未だに上水道が家まで来ておらず、給水車の水を屋根上のタンクに運んで生活している人もいる。しかし、ヨーロッパ資本の5つ星ホテルであるメリア・コイーバのプールは、いつもこのように美しい。市内にはハバナの市民向けプールもあるが、夏場にもかかわらず水が全く溜められていない光景も目にする。

 

melia_cohiba_hotel_poolside

このプールサイドのビーチベッドでは、葉巻が吸える。もちろん、レストランにオーダーして食事や酒も楽しめる。屋外であっても、プールサイド禁煙、ビーチ全面禁煙、というような昨今の世界的喫煙事情を考えると、やはり、まだキューバは愛煙家にとって過ごしやすい国の一つと言える。

 

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ハバナのオールドタウン、通称ハバナ・ビエハ。スペイン統治時代に建設された建物が、今なお多く残る世界遺産地区である。キューバの夏は、観光にとって実はローシーズンで、秋から春にかけてがハイシーズンとなる。

 

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そのため、ハイシーズンは昼夜を問わず多くの観光客で賑わうこの旧市街も、この季節は静かだ。昼は射すような日差しに圧倒され、のんびり散策などという気にならないが、夜のオールドハバナは、見知らぬ路地に迷い込んでみたい気持ちに駆り立てられる。道路に立っている車止めは、昔使われていた大砲。

 

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キューバの治安を心配される方は多いが、キューバはコスタリカと並んで、中南米で最も治安がよいと言われる。夜の街を一人で歩いていても、不安を感じることはない。警戒心を解いてはいけない国や地域が世界には多数あるが、少なくともキューバでは、緊張感と無縁で過ごすことが出来る。

 

el_meson_de_la_flota

古い木造船のような装飾が施されたレストラン、オールドハバナのメルガデレス通りに、その店はある。「EL MESON DE LA FLOTA」 艦隊の酒場、と名付けられたここは、キューバでは珍しい、フラメンコを見ながら食事の出来るタブラオである。ショーの時間帯、この通りを歩いていると、哀愁を帯びたギターの旋律が聞こえてくる。

 

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ジプシーの、放浪の民としての遺伝子と心の叫びから生み出されたとしか思えないフラメンコ。アルゼンチンのタンゴも魅力的で官能的だ。だが私は、どの種類の踊りよりもフラメンコに惹きつけられる。ただ好きだというだけでフラメンコのことは何も知らないが、見るものに苦悩と情熱をこれほどまでに感じさせるものを、私はフラメンコ以外に知らない。

 

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ソビエト崩壊前、キューバは旧ソビエトと非常に親密な関係にあった。そのような関係から、キューバには旧ソ連製のLADA(ラーダ)というセダン車が多く輸入された。そしてその車は、ハバナ市内で未だに多く目にする。いったい何十年前の車なのか不明だが、その老朽化度合いには驚かされる。フロントガラスにひびが入っているくらいは、故障のうちに入らない。

 

very_old_cuban_taxi2

そのLADAタクシーに乗った時のこと、助手席から外を見るとミラーがない。取れてしまったらしい。
キューバで自動車といえば、キューバ革命前時代のアメリカ製クラッシックカーが有名だが、ヒロシ・ロバイナがこんな話を聞かせてくれた。アメリカン・クラッシックカーは50年以上も昔の車であるため、エンジンはアメリカ、ミッションはドイツ、ブレーキはロシア…などと、機関部は寄せ集めであることが多いそうだ。そのため、故障するたびにパーツ製造国に合った修理工場へ行く必要があり、大変面倒だとのこと。「危ないから絶対乗ってはいけない。」と、真顔で話してくれた。

 

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5ta y 16 La Casa del Habano、世界で最初に出来たLa Casaである。当時ハバノスのマスター・オブ・クオリティーコントロールの職にあった、エンリケ・モンス氏のプロデュースによる店だ。そして今のショップマネージャーは、故ドン・アレハンドロ・ロバイナの息子で、ヒロシ・ロバイナの父親でもある、カルロス・ロバイナである。

 

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5ta y 16 La Casa del Habano の専属トルセドーラ、マリア。彼女の巻く葉巻は、どれも奇跡的に美味い。中でも一番のおすすめはチャーチルである。

 

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2013年7月7日、前日に借りたレンタカーでロバイナ農園を目指す。ハバナとピナール・デル・リオを結ぶハイウェイを走る車はまばらで、むしろ路上には馬車や自転車、歩行者、犬などが多く通行している。キューバと言えど、交通法上ハイウェイは当然、自動車専用道だ。ルールと実体の乖離、これもキューバの一面である。

 

way_to_san_luis2

ハイウェイを走っていると、未利用の平坦地が実に多いことに気付く。キューバ全体での平地利用度はたったの20%程度だと、以前に聞いた覚えがある。だからこそ自然が多く残されているし、またGDPも日本の100分の1程度にとどまる理由の一つとなる。

 

hitchhiker_was_cuban_police

彼は誰か?ロバイナ農園のヒロシ・ロバイナを訪ねる短い旅の同行者である。ハイウェーに乗った途端、私は警察官に呼び止められた。検問かと思い車を停めたが、彼は非番に実家へ帰るヒッチハイカーだった。ただでさえ慣れない穴だらけの高速道路。多少なりと緊張を強いられるドライブなのに、警官を乗せて走ることになるとは…。

 

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彼の目的地はどこかというと、サン・ファン・イ・マルティネス。ロバイナ農園のあるサン・ルイスの先の町である。結局ロバイナ農園に着く直前まで乗せていくこととなった。28歳で既婚、奥さんは40歳と聞いてやや驚いたが、「子供は?」と尋ねると、頑張っている最中だと少しはにかみながら答えてくれた。ちなみに彼はほとんど英語が話せないため、会話には苦労した。

 

entrance_of_robaina_farm

ピナール・デル・リオからサン・ファン・イ・マルティネスへ向かう途中に、ロバイナ農園の入口はある。この看板が目印である。H.Rと書かれているのは、ヒロシ・ロバイナのイニシャル。私よりも年下の彼が、世界最高のタバコ葉を生産する農園の主である。

 

way_to_robaina_farm

看板を目印に、道を左へ折れるとここから先は未舗装となる。ここまで来れば、農園まではあと少し。

 

interviewing_hirochi_robaina

今回、農園へ到着した時、ヒロシはタバコ葉栽培について新聞記者からインタビューを受けていた。新聞とは言っても、キューバ国民向けのものではなく、外国人観光客のための英字新聞だ。二人の記者はとても若く、はじめ私は彼らを高校生か大学生かと思ったほどだ。

 

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ヒロシがゲストを迎えるこの建物には、故アレハンドロ・ロバイナ翁の写真が飾られている。

 

national_flags

ベガスロバイナ農園には、世界中からキューバ産葉巻愛好家たちが訪れる。以前、ロシアのLa Casa del Habanoのオーナーとここで一緒になった際、それぞれの国の葉巻事情や好きな葉巻など、様々な話題で話に花が咲いた。そして彼らの中の一人が、ふと思い出したように私に質問した。「北方四島をどう思うか?」 そして私の答えを聞いて、彼は楽しそうに言った。「実に日本人らしい答えだ」と。 ここは葉巻愛好家が集うロバイナ農園、国家間の問題が話題に上っても、険悪なムードになることは希だろう。

 

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キューバの葉巻とロバイナ農園、ヒロシ・ロバイナ、そして何より日本を愛する気持ちが、私に日本国旗を遠くキューバまで運ばせたようだ。そう、ここにある写真の日本国旗は、私が持ち込んだものである。

 

with_hirochi_robaina

ヒロシとは年が近いせいもあって、私たちはお互いに何でも話す。葉巻の話ばかりしているかというと、実はそうではない。

 

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今回の訪問の帰り間際、彼は私に、彼の大好きなアレハンドロ翁の写真をくれた。アレハンドロ翁の生前、プロの写真家が撮った写真だそうだ。

 

don_alejandro_photograph

たくさんの皺が刻まれたアレハンドロ翁の表情は、いつも優しい。この素敵な写真に、ヒロシは自分のサインを入れて私に持たせてくれた。生前お会いしたときにもらったアレハンドロ翁のサインと併せて、どちらも私の宝物となっている。

 

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そしてその写真は私の店で、ヒロシの写真と仲良く並んで来店客を迎える。

 

alejandro_and_hirochi_photos_in_my_shop1

このように…。

 

hirochis_daughters

今回農園で最後に登場したのは、ヒロシの娘たち。(左二人)二人とも目がヒロシと瓜二つ。

 

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2013年7月10日、帰国前夜、懐かしい友と久しぶりに食事に出かけた。彼が以前、Habanos S.A.のマーケティング・エグゼクティブというポジションで仕事をしている時に、私は彼と出会った。横にいるチャーミングで聡明な女性は、奥さんである。

 

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海を眺めながら食事の出来るこのレストランの名は、Rio Mar。その名のとおり、アルメンダレス川がマレコンの海にそそぐ場所にある。キューバで美味しい料理にありつくのはなかなか難しいが、ここはどの料理も素晴らしい味だった。

 

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夕暮れ時から食事前の葉巻を楽しみ、存分に食事を楽しんだ後には、また3人で葉巻を薫らす。キューバを流れる時間は、実にゆったりとしている。必ずまた会おう、大切な友よ。

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