当たりの葉巻が存在する理由?
葉巻を日々薫らしていると、同じボックスでも飛び抜けて美味い葉巻と出会うことがあります。
今回は、この「当たりの葉巻」について、ちょっと考えてみます。
疑問 「1本が美味しかったら、そのボックスの葉巻は全て美味しいのか?」
実はこれは、半分正解で半分間違いだと私は個人的に思っています。
同じボックスコードをもつ葉巻は確かに、近い品質のタバコ葉を使用して巻かれていますので、品質的には概ね一様だと言えるでしょう。ワインにも当たり年があるように、大きなロットで見た場合の善し悪しはあります。
しかし、ボックスに箱詰めされる工程を考えてみると、あることに気づきます。
葉巻は箱詰めされる前に、ラッパーカラーが揃うよう色で選別されます。つまり一つのボックス内の葉巻で共通なのは、
1.葉巻工場
2.葉巻を巻いた時期
3.ラッパーカラー
ということになります。では何が異なっているかというと、
「誰が巻いたか?」 です。
そのボックスに入っている葉巻を巻いたトルセドールは、バラバラなのです。
葉巻の風味に影響を与えるのは、単にタバコ葉の品質や熟成度合いだけではありません。ドローの悪い葉巻で苦戦した方なら分かるかと思いますが、巻きの技術は葉巻の味わいに大きな影響を与えます。
トルセドールにはレベル6からレベル9まで、4階級のクラスが存在しますが、レベル9のトルセドール達が巻いている、大きなヴィトラのシガー品質が非常に安定しているのに対し、スモールヴィトラはレベル6のトルセドール達が巻いていることと、品質管理がやや甘いことから、どうしても品質にバラツキがあるのです。
彼らの中にはやがてレベル9位のマスタートルセドールになる逸材も含まれてはいると思いますが、逆にレベル6止まりのトルセドール達もいるのです。
もちろんレベル6だからといって技術が劣るわけではありません。長い研修期間と試験によるふるい落としを勝ち残った、彼らも立派な職人です。
説明が少し長くなりましたが、巻きの品質、これが味わいの差を生んでいるのではないか…というのが私の推論です。
いずれにしても、火を消すのが惜しいほど美味しいシガーと出会うというのは、とても幸福なことです。
指を焦がすまで…とはいわないまでも、それを巻いたトルセドールへ感謝をしつつ、最後まで大事に味わいたいものですね。
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